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千葉家庭裁判所松戸支部 平成元年(少)315号 決定

主文

少年を初等少年院に送致する。

理由

(審判に付すべき事由)

第1  司法警察員作成の平成元年2月14日付少年事件送致書(謄本)犯罪事実の概要欄記載の事実と同一であるから、それをここに引用する。

第2  同作成の同年6月5日付少年事件送致書犯罪事実の概要欄記載の事実と同一であるから、それをここに引用する。(ただし、同欄3行目に「(一五歳)」とあるを、「(当時一五歳)」と、5行目に「平手で二回」とあるを、「平手で一回」と各訂正する。)

第3  少年は、中学在学中から外泊、有機溶剤吸引、窃盗、恐喝等の非行を繰り返すようになり、平成元年1月10日、ぐ犯等の事実で保護観察処分に付されたが、その後も保護者らの指導に一向に従わず、夜遊び、外泊を重ねながら不良者らと遊び歩き、有機溶剤吸引を繰り返しており、その性格、環境に照らし、将来毒物及び劇物取締法違反、窃盗等の罪を犯すおそれがあるものである。

(適条)

上記第1の上記犯罪事実の概要欄(一)記載の事実につき

刑法60条、235条

同欄(二)記載の事実につき

同法235条

同第2につき 同法60条、208条、罰金等臨時措置法3条1項1号

同第3につき 少年法3条1項3号イ

(処遇等)

1  少年の非行傾向は中学2年生のころから顕著となり、シンナー遊び、夜遊び、家出、不良交遊、窃盗、恐喝等の問題行動が治まらず、警察、児童相談所等関係機関の指導も容易に奏効せず、平成元年1月10日、ぐ犯、恐喝保護事件により保護観察処分に付された。(上記第1の事実はその余罪)

2  しかしながら、少年の行状はその後も一向に改善せず、従前同様に夜遊び、外泊、シンナー遊びが日常化している状態であり、近時は就労もせず、徒遊しながら不良者との交際もでき、保護者らの注意にも全く耳を貸さずに気ままに遊び暮らしており、その生活全般の荒廃が著しい。

3  少年の父母は少年の養育について関心を持っているが、少年が小学校在学時に離婚するなど、その家庭の状況は少年の養育上芳しいものではなかった模様であり、そのためもあって少年の両親に対する感情は相当に悪く、保護者らの少年に対する監護能力にはほとんど期待できない状態である。

4  以上のように、少年の非行性は高く、その保護環境にも問題があって、有効適切な監護を望めない状況であるから、少年について在宅の処遇をすることは相当でなく、少年を初等少年院の矯正教育に委ね、基本的な生活習慣と健全な生活意欲を養わせ、併せて保護環境の調整を進め、もって少年の改善の糸口とさせるのが相当である。

(結論)

よって、少年法24条1項3号、少年審判視則37条1項を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 中村直文)

司法警察員作成の少年事件送致書の犯罪事実

(平成元年2月14日付け)

一 被疑者N・K、同A子は共謀の上昭和63年10月20日午後零時00分頃松戸市○○町××番地の×○○ストアー○○店前歩道上に於いて、B子所有の自転車1台(時価5,000円相当)を窃取し

二 被疑者N.Kは同年同月24日午後5時10分ごろ松戸市○○×丁目××番地先歩道上に於いて、同所を歩行中のC子が所持していた現金3万400円及び財布1個ほか1点在中のハンドバツク1個(時価合計4,500円相当)をひったくり窃取し

たものである。

(平成元年6月5日付)

被疑者A子、同N・Kは共謀のうえ、平成元年4月22日午後9時頃、松戸市○○××番地JR○○駅前路上において、B子(15歳)に対し、「何で金持ってこなかったんだよ」と申し向け被疑者A子が被害者の下腹部を1回蹴り、更に被害者の髪をつかんで引きもどし、被疑者N・Kが被害者の頬を平手で2回殴り、もって暴行を加えたものである。

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